2014年3月15日土曜日

第五回 リクルートの入社試験前の試練の話


さて、
先輩の熱くて、暑いガイダンスを受け
私をはじめとして熱に浮かされたような面々は何人かいました。

そして次々面接に
東京まで出かけて行きました。

ただ、私の前に面接を受けた人間は全員落ちてしまった。

やはり実力主義はだてじゃない。

よほどのことがないと
入れない会社だと始めてシビアな
社会の一面にふれました。

私はといえば、
大学に編入して欲しい、という
父親との戦いに手こずってました。

高専は東大や東工大と言った超名門への編入以外にも受け皿として技術科学大学というものを全国に幾つか持って
おり、そこへの編入が一般的コースでした。

私の地元長岡にもその一つがある。

ところが

ここでもし編入なんて受け入れてしまえばそれこそ、本当にもう自分自身が
一番苦手な事を一生の仕事にしなければいけない。

必死でした。

なんとか親を説き伏せ教授にリクルート就職面接のための推薦状をもらいにいくとこれはこれで就職担当の教授はカンカンになっている。

高専は大学の専門過程を学んだ促成栽培のエンジニアを短卒と同じ給与で提供する。しかも田舎の子達ばっかりなので擦れてない。

学力(カリキュラムベース)一緒で
低コストコスト、素直とくるなら、
費用対効果に厳しいメーカーや
ゼネコンにとってはありがたい存在

しかも数が少ないときてるから
金の卵。

ここに就職率の異常なる高さの秘密があったわけです。
(通常、教授の推薦があれば落とされることはほとんどない)

無学で子供の将来を案じた父親が
高専進学にこだわったのも
この就職率の高さがあったから。

平成バブル直前の当時
ただでさえ売り手市場なのに、
金の卵がバンバン落とされる。

しかもニュースでは
リクルート事件が報道されかかっている。

そんなタイミング。

教授
「酒井君、
失礼じゃないですかリクルートさんって会社は。私、教師生活25年以上やってますが、このような失礼な対応を企業の方にされたことはないですよ」

「はあ、すいません。。。。。
(てか、僕のせいじゃないんだし)」

教授「他にこんな会社はどうですか?
地元に大手の関連会社が
こんだけあるじゃないですか?

君、こんな大手に入ったらそれこそ一生安定だよ」

教授の手元には
大手家電の関連会社や、外資系メーカーの会社案内が山と積まれていました。

教授
「こんないい会社がいっぱいあるのに、なんでテレビのニュースに
でてるところに敢えて好き好んで行くの?

しかも、私の推薦した子達をどんどん落として本当に失礼だ!!(怒り心頭)」

私「先生、ご紹介、ありがとうございます。だけど僕、営業がしたいんです」

教授
「なんですと。それならほれ、
こちらの経理機器メーカーは君、営業の募集があるぞ。

しかも業界大手だ。

これこれ
(ポンポンと会社案内をたたく)
ここはどうですか。いいと思いますよ。家電大手の系列だし。」

私「先生、、、、

ぼくはリクルート、リクルートで、

営業したいんです」

教授
「営業なんか
どこでもできるんじゃないかね。
リクルートでなくても。

これこれ、
こっちの工具メーカーは営業が強いぞ、関西系だし」

私「ぼくはリクルートで
新しい価値を生み出す新規事業の
営業がしたいんです!(キッパリ)」

教授
「なんですと!!(激怒)君も頑固で失礼だ!全く聞く耳を持ってない。

わかりました。いいでしょう。
一回だけ君の推薦状を書きましょう。

ただしね、君、
もし仮に、リクルートさんの面接に落ちても僕は二度と推薦状は書かないからね。覚悟をしておきない!」

書き殴った推薦状に捺印をし、
教授は私に渡しました。

真っ赤な顔の教授に私は一礼すると、研究室を後にしました。後ろを振り返らずに。

大学に編入もせずに、
しかも一発勝負の実力主義、滑り止めなし。

まさにガチンコ。

試験を受けに行く新幹線の中
故郷の光景を見ながら、背水の陣の意味を思うのでありました。

その時先生にご紹介いただいた
幾つかの会社はリーマンショックや家電不況など様々な理由で私の地元から撤退するなど色々ありました。

さて、いくら能力、
実力主義の会社を受けると言っても素手で戦うのは愚者の選択。

背水の陣ではありますが、当たって砕けるというは、これは作戦ではありません。

「永遠のゼロ」ではないですが
こちら生きて帰ることしか考えてない。

とにかくリクルートの入社面接に受からないことに人生が変わらないのであります。

先ほどのS先輩と連絡を取りながら選考対策を練りました。何しろアピールポイントがあまりにもない。

かと言って
嘘をついても多分すぐにメッキが
はがれるだろう。。

その結果たどり着いた戦略は

「リクルートが求めている人間とは何か徹底的に分析する」

というものでした。

スマートソーシャル 酒井



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