2015年3月31日火曜日

リクルート入社して26年目の気づき

先日、リクルート時代の先輩と会食させていただく機会があった。
会食という名の飲み会は在籍中からもしょっちゅうあり、
最近は同窓会という名で、大規模のパーティなども頻繁にある。

パーティはともかく、ある程度の人数の飲み会も年甲斐もなく大騒ぎに
なることが当たり前で(自分も率先してはいるが)とてもゆっくりと話を
する雰囲気でもない。

その日も、ともすると思い出話と大騒ぎになりそうな中、仕事の相談をしながら、
どうしてもその先輩に聞いてみたかったことをきりだしてみた。


「どうして先輩はあんなに大型受注を挙げられたのか?」

大型受注をあげられながら私が入社そこそこの時期にスタッフに
異動された先輩にお話をうかがうタイミングを逸し、26年ぶりの率直な質問であった。


新卒で配属された事業部は企業むけに通信回線を提案する事業部だった。
オーナーの江副さんの肝いりで、新規事業として若手社員を中心に1000人以上の人員が投入され
一気にマーケットシェアを奪い取って行く最中だった。

私たちが入社した平成元年には営業も一息つき、営業の絶対数と見込み顧客の数も
逆転し営業が飽和し営業マン同士の社内バッティングが日常茶飯事だった。

今でいうところのレッドオーシャンだろうか。見込みのあるお客様は社員数と営業拠点数が電話回線に比例する
ので皆が狙い撃ちする。

だからおのずと営業対象先も限られてくる。

我々新人営業マンの仕事といえば早朝深夜ぼろぼろになった帝国年間をコピーすることからはじまる。
いかに旧人が営業していない手垢のついていなお客様にアタックできるか?日夜同期で議論を重ねたものだ。


そんな中、その先輩は地方の大手企業の大型受注をドンドンきめていた。

当然地方にもうでききの営業マンがおり、日夜アプローチをかけている。
また、東京のTOP営業マンたちも隙あらば地方に出張をかけねらってくる。
お客様にたどり着く前に社内の競争に勝たなければという状況だったのだ。

なぜ彼女だけあんなにも決められたのか?

26年ぶりに教えてもらった種明かしは実に明快なものだった。

1・東京には大企業、そして本社も多いが競合(社内外も含めて)も多い。
2・お客様は断るのが仕事になっている
(売れない営業はその中で何回もアプローチすることに満足)
3・そこで地方の大手企業をターゲティング(ここまではやる人もいる)
4・地方の大手企業本社にはその人しかわからない社内電話回線のヌシの人がいる
5・そのヌシの人が防波堤になり営業マンをストップする(自分の仕事を邪魔させないため)

つまり、そのヌシの人を(気持ちよくさせたまま)突破しなければ受注はあり得ない。

そこで先輩がとられた手は
6・東京をはじめ大都市の支社長あてに営業する
7・支社長は自分自身の仕事ではなく決定権がないものの、選りすぐりのエリートである。
8・彼らはやがて本社に帰り経営層になるべく鍛えれれており問題意識が高い。
  つまり、総務にアタックしたら後回しにされる通信コストの削減も彼らにとっては
 (=利益貢献)となり、売り上げを何倍にもあげるほどのインパクトを持つのだ
9・そのため支社長は喜んで通信量の把握に協力することになる

その後、先輩は
支社長の協力を取り付け、通信量を把握し、全社の通信料金のシミュレーションを行い
その結果莫大なコスト削減(=利益貢献)を明確にしたうえで、ヌシの人に会いに行く。

会社の通信設備に一生を捧げ、守り抜いた彼の会社への利益貢献という名の手柄にしたうえで
決済を上げさせる。

なんとすごい戦略だろうか。


1・敵がいないところにアポを取り
2・後々、会社を支える人々(理解力もあり、スピードも速い)を味方につけ
3・エリートである彼らの協力のもとに、現場の超キーマンの手柄にして敵を作らずGOALまで一直線

彼女がこの仕事をまとめたのは新入社員であり当時の上司も7年目(30歳前後)だというのだ。

私ははたとはしを落とし、その驚きに言葉がなかった。
そしてそのあと彼女が言った言葉がさらに衝撃的だった。

「この話ってガルコン(社内論文)に書いてて、それで賞もらったんだよ。有名な話。読まなかった
私のガルコン」

・・・・・・・・

我、見れども見れず。当然読んでいたはずだが、当時の自分がいかに何も考えていなかったかと同時に
形だけをまねしようとしていたことが分かった。
物事の本質を今一度見つめてそのれに対し真摯に対峙していこうと26年ぶりに思いました。

M先輩、気づきをいただきありがとうございます。